自分の中学1、2年生のころを思い出すと、エネルギーを内へ内へと閉じ込めて、さなぎのように丸まっていました。
子どもから大人へと変容する時期。
世の中の暗い部分に妙に惹かれたりして、黒い服に身を包んだりしたものです。
けれども、内に向かうそのエネルギーは有り余るほど大きくて、やり場のないイライラをぶつけていたように思います。
そんな年頃にやってくる狂言の学び。
大きな声で、ゆっくり、はっきり、堂々とした態度で、が狂言の表現。
内にこもりがちなエネルギーを外へと向けることは、どれだけ勇気がいるだろう。
でも、それは同時に、社会と健全に結びつくための助けとなるのかもしれない。
そんなことを思いながら、狂言発表を鑑賞しました。
演目は「井杭(いぐい)」。
被ると姿が見えなくなる不思議な帽子を手に入れた井杭という男の子が、いたずらを働くという喜劇です。
600年も前に、透明人間のお話があったなんて!
透明人間になってみたいという願望や、面白さを感じる感性は、600年前の日本人も、今を生きる私たちも変わらないのかもしれません。
狂言師・井上松次郎先生のご指導のもと、 3ヶ月という限られた時間の中で基礎から学び、慣れない所作や言い回しを覚えた彼らの一生懸命な姿に、心から拍手を送りたいです。
(4年生保護者)