保護者インタビュー
入学に消極的だった夫。
時間をかけて ゆっくりと気持ちを変化させました。
夫:秀夫さん
妻:志寿さん
秀夫さんは、お子さんの進路についてどのように考えられていましたか?
秀:地元の公立小・中学校に進学すると漠然と考えていました。それ以外の選択肢を知りませんでした。
志寿さんからシュタイナー学校の話を聞いて、どう思いましたか?
秀:息子の進学先にそういう選択肢もあるかもしれないと気づきました。ただ、自分が経験していない教育であり、イメージがつかめませんでした。子どもが問題にぶつかったとき、自分の経験をもとにアドバイスできないかもしれないと思いました。
秀夫さんは入学に対して消極的でした。
志:息子には、父母がともに納得してこの学園を選んだよと伝えたかったです。この学園は保護者も運営に関わるので、母親ひとりの頑張りでは通学し続けられないだろうと思い、なんとかわかってもらわなければ、と必死でした。しかし、直感で「この学校がいい」と感じたことを理論的に説明するのは難しかったです。
秀:入学の1年前に、妻から「シュタイナー教育を考える」(子安美知子著・学陽書房)という本を勧められました。エデュコレ(多様な教育の博覧会)に参加したとき「子ども一人ひとりに合った教育がある。教育には選択の自由があるべきだ」という言葉が腑に落ちました。しかし、「シュタイナー教育」という一つの枠の中に入ることで不自由を感じるのではないかという思いがありました。卒業後の進路についても不安でした。
シュタイナー教育を知っていく中で、気持ちや考え方にどんな変化がありましたか?
秀:入学説明会に参加したり書籍に触れたりする中で、シュタイナー教育にもっとも共感できたのは、「どんなに時代が変わっても、人間の成長段階は基本的に変わらない」という考え方です。また、「シュタイナー教育」という一つのブレない軸を持つことを肯定的に捉えるようになりました。そして、この先ぶつかるかもしれない様々な問題や障壁に対して家族一丸となって取り組むことは、どの学校を選択しても変わらないと考えるようになりました。1年かけてじっくりと進路について考え、自分とは違う道を息子が歩むことへの違和感を払拭できました。何よりも、妻の熱意が支えとなりました。
最終的にご夫婦そろって入学の意志が固まりました。
秀夫さんが前向きになれたのは、なぜだと思いますか?
志:自分がいいと感じたことはなるべく言葉で伝えましたが、説得するようなことはしませんでした。説明会やイベントに参加して、夫自身の肌で感じてもらったことが良かったのではないでしょうか。願書を書いたり、面接を受けたりするうちに意志が固まっていったように思います。夫婦間の話し合いだけでは、いつまでも平行線だったと思います。私の熱意はずっと続いたわけではなく、揺れ動いたときもありました。そんなときは、息子を見るようにしました。「この子をシュタイナー学校に通わせたい」と、原点に立ち返りました。
志:入学してからも、夫の考えは変わっていきました。保護者同士の関わりをとおして、学園の良さを感じてくれていると思います。なにより、実際に授業を受けて感動してキラキラした顔で語ってくれる息子を見て、入学して良かったと一緒に話せるようになりました。
夫婦の形はそれぞれですが、説明会やイベントに色々と参加して、実際に感じてみてほしいですね。気持ちが動く一つのきっかけになるかもしれません。
自分と異なる学びに期待。
学園は親子がともに育つ場。
秀:秀一さん
敦:敦子さん
シュタイナー教育との出会いは?
敦:長男の卵アレルギーがきっかけで、岐阜の清流みずほ幼稚園を選びました。そこでシュタイナー教育に出会い、その素晴らしい環境で3年間子も親も育ちました。学びが深まるにつれて、思考・感情・意志の調和を大切にし、それらを子どもの成長にふさわしく育むというシュタイナー教育で子ども達を育てたいという想いが強くなりました。しかし、岐阜にはシュタイナー学校がありませんでした。無いからといって簡単に諦めない仲間にも恵まれ、シュタイナー学校を立ち上げる決意をしました。様々な壁を乗り越え、多くの人に助けられて古民家で学校を始めましたが、1年半で閉校する事となり、長男が2年生の3学期から愛知に編入しました。
シュタイナー学校への進学をどのように考えていましたか?
秀:私は公立の学校に通い、問題集をたくさん購入して、丸暗記中心の勉強をしました。その結果、テストの点は取れても、考える力は身につかなかったように感じます。今は、丸暗記や知識の組み合わせはAIができてしまいます。息子には、勉強だけではなく、幅広い力・応用力を身につけてほしい。自分とは異なる学びで、どんな大人になるのか期待して本校を選びました。
入学していかがですか?
秀:高等部の姿を見ると、ここでの学びは将来仕事で活かせると感じています。
例えば、8年生プロジェクトではプレゼン力が求められます。先日の12年生劇も圧巻でした。2時間にも及ぶ劇の台詞を覚えるだけでも大変ですが、堂々とした演技と高い表現力に驚きました。
敦:長男は、家の中で困りごとがあるとパパッと何でも手作りしてしまいます。創造力に必要な想像力が育まれたからだと思います。私は、シュタイナー教育を知ってから、どんなことに対しても「何か意味があるのだろう」と考えるようになりました。子どもが何か問題を起こしたときには「この子は私に何を伝えたくてこれをやったのだろう」と自身を省みるようになりました。学園は親子がともに育つ場ですね。